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ピップは静かに眠りました。

          オークニーの旅から戻り、毎夜、苦しそうにゼイゼイと息をし、
          あちこちを歩きまわり、家具などの隙間を見つけては、
          入り込もうとしていました。

          動物の習性で、一人で静かに死を迎える場所を、見つけようと
          しているのでしょう。

          それを長時間毎晩繰り返し・・・最後には疲れて果て、
          寝てしまいます。私も・・・

          2種の薬を服用していたのですが、一種はステロイドで、
          一日2回服用、もうひとつは一日1回。

          夜中に苦しいのなら、時間をずらして・・・
          薬の順番を変えて・・・と色々試してみましたが、やはり
          夜中に肺が苦しくなるようで、とても辛そうです。

          薬の副作用で、頻尿になり、夜中に歩き周り
          ながらするようになってしまいました。
          うんちもそうなり・・・
          
          肺のほうは、薬で抑えるしかなく、傷ついた肺は、回復する
          ことはないと言われました。

          夜が明け、疲れ切って寝ているピップ。

          それでも、食欲はあるのです。


          夫は、ピップの苦しみを見ていられない。
          回復するなら、まだしも、これから先、ずっとこのような
          苦しみを与えておくことは、残忍だと言いました。

          とても悩みました。

          そして、かかりつけの獣医にも同様のことを言われ、
          安らかな死をと・・・予約しました。


          やっぱり、できない・・・もう少し様子を見てみます。


          そしてキャンセルしました。


          ピップは認知症が急速に進み、夫の顔を見てもあまり反応
          しなくなりました。
          

          ◆溺れそうになった ピップ

          いつも、朝起きて、用をたすために、庭に出します。

          うんちの時は、見届けるようにしています。
          脊髄破損の病気を何度もしているので、足腰が不安定で、
          うんちの上に倒れてしまうことがあるからです。

          うんちをしに、庭を歩いて、見えなくなりました。
          急いで、その方向にある、部屋に行き、カーテンを開けると、
          「危ない!」庭の端にある、川(スコットランドでは
           バーンと言う)の斜面の上で、用を足しているのが
          見えました。
          あの不安定な足元では、バーンに落ちる!

          凄い勢いで靴を履き、ピップを呼びながら、走りました。
          いない・・・
           
          
          バーンの方を見ましたが、茂みでよく見えません。
          私もバーンに降りていきました。

          夫を呼んでいる時間がない・・・
 

          ところどころ、大きな石があり、ところどころ深くなり・・・

          橋に近いところにピップがいるのが見えました。

          橋の下は急に深くなるのです。そして、湖に続いています。

          ピップはこちらを見ていました。

          やっとピップに辿り着き、抱きかかえ、橋の下の深いところ
          に立ち、ピップを橋の上に持ち上げようとするのですが、
          私の背丈では、難しく、そして重く・・・
          絶対に出来る!と自分言い聞かせ、「エイ!」と持ち上げました。

          橋の下から、ピップが安全な方に歩いていく、足元が見えました。

          急いで、地上に上がり、ピップを家に入れ、タオルで拭き、
          ドライアーの温風で乾かしました。
    
          あのときの私を見る目が忘れられません。
          「こんなことまでしてもらって・・・ありがとう・・・」
           とでも言っているような目でした。


           夫が起きてきて、「どうしたの?」
           「何で呼んでくれなかったの?」

           やっぱり溺死はさせたくない。

           また夜中の、苦しみがゼイゼイと始まり・・・

           とても苦しんでいます。
           これ以上苦しませたくない。そして、決心しました。

           9月26日、3時30分頃 静かに眠りました。
           本当に静かに・・・

           17年前の8月に我家にやってきました。

           あと3日ほどの命と言われた、大病にもかかりました。
           何度となく、脊髄の破損を繰り返し。

           獰猛な犬にも、噛み殺されそうになり。
           色々な危機を乗り越えてきました。 

 

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             ボートに乗るのが好きだったな~。


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           アネモネの上で休むのが好きだった。



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          一生懸命、会話を理解しようとしたピップ
  
 
            
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            遺灰が届いたら、好きだった場所に撒いてあげようと思います。

           
           

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by maikoscts2019 | 2019-10-04 05:35 | 動物 犬 その他
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